システムの壁、心の壁。移行期の「反発」とリーダーが下すべき決断【S2-#3】

「これまでのやり方でいいのに」「アプリを開くのが面倒だ」

Glideへの移行を発表した直後、私を待っていたのは賞賛の声ばかりではありませんでした。むしろ、目の前に立ちはだかったのは、システム的な不具合よりも重く冷たい「変化への拒絶」という壁でした。

「便利さ」という名の高いハードル

当時の移行は、まだ決済機能まで備えたものではありませんでした。主な目的は、LINEのトーク履歴に埋もれていた「参加者名簿」を、Glideというデータベースへ集約すること。

エンジニアである今の私からすれば、これは情報の整理整頓に過ぎません。しかし、ユーザーからすれば「LINEのトーク画面で完結していた気軽さ」が、「ブラウザを立ち上げ、ログインし、ボタンを押す」という数ステップのコストに変わったことを意味しました。

「たった数秒の手間」が、コミュニティの居心地の良さを奪うノイズになる。直接的な批判もありましたし、何も言わずに静かに去っていった人もいました。「良かれと思って作った仕組みが、人を遠ざけているのではないか」。その事実は、リーダーとしての私に重くのしかかりました。

「全員」に好かれる組織は、誰の役にも立たない

葛藤の中で、私は自分に問い続けました。 「なぜ、私はこの仕組みを作ったのか?」

答えは明確でした。「属人化を排除し、TURTLESを10年、20年と続く持続可能な場所にすること」です。

全員の要望を聞き入れ、以前の運用に戻すことは簡単です。しかし、それでは代表が疲弊し、運営が滞る未来が目に見えていました。特定の誰かの頑張りに依存する「優しいけれど脆い組織」のままでは、本当の意味で人生を支えるサードプレイスにはなれません。

たとえ今、一部の人に不便だと思われても、将来的に「入ってよかった」と思える質の高い環境を守る。そのためには、「仕組み(ロジック)」によるフィルタリングが必要不可欠だったのです。

次なる課題:残った「現金徴収」という摩擦

このGlide移行によって、誰が来るのか、過去に誰が来たのかという「データの資産化」には成功しました。しかし、システムが整えば整うほど、最後まで残ったアナログな摩擦が浮き彫りになっていきました。

それが「当日の現金徴収」です。

名簿はデジタルになった。しかし、グラウンドでは相変わらず参加費を手で受け渡し、誰が払ったかをチェックする作業が続いていたのです。この「最後のアナログ」をどうハックするか。

次回、第4話。ついに導入される「Make×Stripe」による決済自動化。なぜ即時決済ではなく「15分後の請求書」という仕様に辿り着いたのか。その論理的な背景をお話しします。

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